過去記事を手直しして掲載します(^^)
優雅に踊っているように見えるバレリーナ。内実は全身の筋力をフル活動させているので僅か数分間の舞台でも袖に戻ると ぜぇぜぇはぁはぁ・・。バレエは勢いで脚をあげたり、回転したり、移動するのではなく、筋力をフルに使って身体を動かすので酸素の消費量がハンパなく多いのです。
スクワットをゆっくりと数百回繰り返すほどの運動量があるバーレッスン。片手をバーに添えて、脚の屈折、足の裏表のストレッチなどウォームアップとバレエのパ(動き)に重要な基本レッスンを片脚づつ行います。続くバー無しのセンターレッスンでは各パの練習をします。子どもの頃から、メチャクチャきつ~い状態でも「は〜い、辛くても笑顔で」と仕込まれます。片脚をゆっくりと高く上げてキープするときのしんどさといったら😩😖😭〜 でも顔は😌🙂😊でなくてはいけないのです。
そんなレッスンを毎日何時間もこなすプロのダンサーの肢体は、レッスンで鍛えられた筋肉で護られ、しなやかでありながら鋼のように強靭です。バレエダンサーはどの分野のアスリートよりも身体能力が高いと言われています。そんなダンサーたちの美しい肢体と驚きのダンスショットを私の好みで選んでみました。シルヴィ・ギエムを除き、世界の舞台で活躍している現役のダンサーたちです。
彼はソ連崩壊の2年前、まだソ連だった頃のウクライナに生まれました。19歳の若さで英国ロイヤル・バレエのプリンシパル(最高位)に抜擢され天才と言われましたが、ご法度のタトゥーを入れたり公演をドタキャンし、昇格後わずか2年で退団。ロンドンで自身の舞台を立ち上げますがうまくいかず、その後ロシアを起点として活動していました。
退団騒動から4年後の2016年、彼のドキュメンタリー映画が話題になり、世界の舞台に戻ってきたとファンは大喜び(私も)だったのですが、崇拝するプーチンの顔のタトゥーを入れたり、同性愛者への差別発言でパリオペラ座のゲスト出演が取り消されたりと相も変わらぬ問題児ぶりを発揮。そんな状態でも世界から声がかかるのはひとえに彼のバレエが唯一無二だからです。ロシアがウクライナに侵攻した時に「衝撃だ」と発言して以来彼は沈黙を通しています。
貧しくてバレエを習うことが出来なかったミスティ。13歳の時、我流でバスケットコートで踊っていたミスティをバレエ教師が見つけました。教師に引き取られたミスティは奨学金を得て本格的にバレエを始めました。
身長170cm級のバレリーナが多い中、157cmと小柄ですが長い手足で伸び伸びと踊るミスティはまったく引けを取りません。2018年、ディズニーの実写映画「くるみ割り人形と秘密の王国」にバレリーナ・プリンセス役で出演。スイーツ・カヴァリエ役のセルゲイ・ポルーニンと共演しました。
タイツ姿で立っているイワン・ワシリーエフを見ると、ラグビーの選手?それとも砲丸投げ?っていうくらいのムキムキ・マンですが、ひとたび舞台に上がると、ジャンプの高さと迫力満点の踊りに圧倒されます。男っぽく力強い踊りで男性ファンが多いのも彼の特色です。友人のご主人はバレエにまったく興味がなかったのですが、バレエファンの奧さんに引きずられて初めて見た舞台がイワンの「スパルタクス」でした。彼の超人的なダンスに目が点になったご主人は、以来バレエを鑑賞するようになったそうです(^^)
100年に一人のバレエダンサーといわれたシルヴィ・ギエムは2015年に現役を引退しました。20世紀が生んだ世界最高のバレエダンサーだと私は思っています。
パリオペラ座の芸術監督だったヌレエフがまだ19歳だったギエムのエトワール(ダンサーの最高位)昇格を宣言してバレエ界を驚かせました。容姿端麗で子ども時代に新体操で鍛えた肢体が完璧すぎる美しさであることも話題を呼びました。
私が初めて見た彼女の舞台はモーリス・ベジャールの「ルナ」でした。全身真っ白なレオタード姿のギエム以外にあるのはバッハの曲と青いライトだけ。幻想的でこれ以上美しいバレエはないと感動に浸りました。それからは、ギエムと同じ稽古着を着たり髪型を真似てみたり、シルヴィ・ギエムは私のバレエの女神になりました。
パリオペラ座は海外のバレエ団でのゲスト出演を許さなかったため、自由を求めるギエムは英国ロイヤル・バレエ団に移籍。そこでは古い伝統にこだわるロイヤル・バレエとの闘いの連続でした。「その方が綺麗だから、素敵だから」ではなく、ただ伝統だからという理由だけの振り付けに反発し、華美すぎる衣装を嫌いました。取材も受け付けないギエムは、「マドモアゼル・ノン」と呼ばれていましたが、やがてバレエファンは彼女の求めるものに共感するようになります。ギエムは伝統に縛られていたバレエ界に新風を吹き込んだのでした。
親日家のギエムは日本の文化を好み、特に陶芸を好んでいます。引退した2015年、彼女の現役最後の公演は日本でした。
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"In The Middle Somewhat Elevated"
あえて白黒で撮影したシルヴィ・ギエムとローラン・イレールのコンテンポラリーです。当時は二人ともパリ・オペラ座のエトワールでした。振り付けはウイリアム・フォーサイス。私は男っぽくてキレのいいダンスを踊るイレールが好きだったので、このカップリングは最高です。音楽もパも難しい作品です。ギエムの身体能力と技術の高さをみていただけたら嬉しいです(^^)