ORIHIME’s diary

利用していたブログサービスが閉鎖となり、旧記事とともに引っ越してきました。テーマは「好奇心、感動、そして感謝」です。

🔹🔹🔹個性と才能を見つける多重知能理論

 

子どもが憧れる職業

幾つかのサイトの最新情報を見ました。上位にランクされている小学生が将来就きたい職業は、男の子はスポーツ選手、ゲームクリエイター、ユーチューバー、警察官、TVアニメ制作、女の子はパティシエ、漫画家、看護師、芸能人・歌手、教師です。これを見て、昔購入した「MI: 個性を生かす多重知能の理論」を思い出して再読してみました。MI=Multiple Intelligences は「多重知能」または「複合的知能」とも訳せます。

原作は1999年、日本では2001年発行 新曜社 ¥3300 + 消費税 (高!😅)

 

人はさまざまな知能を併せ持っている

IQ知能テストで測定できるのは読み書きと計算する知能だけですが、人はほかにも幾つもの知能を持っていて、その中の優れた知能が個性に繋がる・・とするのがアメリカ、ハーバード大学教授で心理学者のハワード・ガードナー氏が提唱する多重知能理論です。1983年、最初に提唱された知能は7つでしたがその後もう2つ加わり9つになりました。下は基本的な8つの知能で、それぞれの知能に優劣はありません。ガードナー先生は、限られた知能しか測定出来ない学校の教育システムにとらわれず、子どもの優れた知能を見つけて伸ばしてあげることが大切だと説いています。

画像: 知育ゲーム「パズランド」のHPからお借りしました。


8つの知能

🎈言語・語学的知能:言葉を理解したり、うまく使用したりする能力。
🎈論理・数学的知能:問題を論理的に考えたり、数学的に考えたりする能力。
🎈音楽・リズム的知能:音楽的に優れた演奏をしたり、より深く音楽を鑑賞したりする能力。
🎈身体・運動的知能:目的のために自分の手指や体全体をうまく使う能力。
🎈視覚・空間的知能:ものの配置や場所など、空間をうまくとらえる能力。
🎈対人的知能:相手の心の状態を察したり、うまくやりとりをしたりする能力。
🎈内省的知能:自分の気持ちや能力を理解し、それを生活に活かす能力。
🎈博物的知能 : 自然のものや人工のものをうまく見分けたり、分類したりする能力。


学校教育では子どもの才能を伸ばせない!

🔸日本の学校では、言語・語学的知能、論理・数学的知能に属するいわゆる主要五科目の試験で優劣を測ります。それらの試験が得意な子は優秀とされますが、苦手な子は他に優れた知能があっても測定する方法がなく、自らも劣等生と認識してしまいます。親もつい子どもに万能を求め、苦手な学科を無理無理強化させる勉強を押し付けてしまいがちです。

しかしながら、子どもたちが憧れている職業は、あらら・・主要五科目には直接関わらない知能を要するものがほとんどです。絵画や設計、デザインに求められる視覚・空間的知能、身体能力や身体を動かすことが得意な身体・運動的能力、クリエイティブな能力・・創造性などは、学校では伸ばすことができません。学校に期待出来ないのであれば、家庭で、子どもの得意或いは好きな知能を見つけて伸ばしてあげるしかありません。

🔸さかなクンは小学校時代、授業中も休み時間も魚の絵を描いていて授業についていけませんでした。担任の先生に「絵は素晴らしいけれど、将来本人が困るので勉強もするようにしてください」と言われたさかなクンのお母さんは「あの子は魚と絵が好きなのでそれでいいんです。勉強が優秀な子も、そうでない子もいていいんです。皆同じだとロボットでしょう?」と答えたそうです。さかなクンのお母さんは、ゴミ収集車に興味を示した4歳のさかなクンのために、車で何時間もゴミ収集車のあとをついて行ったそうです。また、タコの絵に夢中になったさかなクンのために、丸のままのタコを買い、約1ヶ月間、味を変えて毎日タコを料理しました。お母さんは多重知能についてはご存知なかったと思いますが、さかなクンの個性を大切にして、多重知能理論でいう博物的知能と視覚・空間的知能(絵画)の才能を伸ばしてあげたのです。東京水産大学(現・東京海洋大学)の受験に失敗したさかなクンですが、研究を続け、内閣総理大臣賞を受賞。東京海洋大学からは名誉博士号を授与されて当大学の客員准教授を務めています。水産大学の先生になりたかったさかなクンの夢は叶いました。

🔸つい先日、歌舞伎俳優の中村壱太郎さんが駅のホームで台本を読んでいる姿をテレビで見ました。壱太郎さんは歩いたり、身体を動かしながら台本を読むと台詞を覚えやすいそうです。日舞は中腰で身体を制御しながら踊るので身体能力を要します。舞踊の名手の壱太郎さんは高い身体・運動知能に優れているはずです。この知能に優れている人は、身体や手を動かしながら何かを学ぶと効果があるそうです。特に暗記とか。そういえば私は、漢字、英語のスペル、化学記号などを何度も手で書いて覚えました。見ただけでは覚えられなかったのです。私はスポーツやダンスが好きでどちらかというと得意です。

🔸視覚・空間的知能が高い子は、図に描いてみたり、写真や図面が多い参考書で学ぶと効果的なようです。

🔸対人的知能が高い子はコミュニケーション能力に長けていて誰かと一緒に何かをすることが好きなので、リビングで勉強した方がはかどるようです。

🔸内省的知能が高い子は一人でじっくり考えるタイプなので、一人部屋の方が勉強しやすいようです。

 

ガードナー先生による天才児とは? ある特定の分野で、同年代の子どもよりずっと早い時期に優秀な大人に匹敵する能力を有する子どもです。それはただ発達のスピードが速いというだけで、ほかの子が追いつくと目立たなくなります。それからは天才児であろうとなかろうと際立った大人が賞賛されます。「十で神童、十五で才子、二十過ぎれば只の人」ですね。

ガードナー先生が説く創造性と知能

創造性には、ある領域で最初は珍しくて奇異な感じがあっても後に文化的に受け入れられる特性があります。創造性は新たな疑問を発するという点で知能とは別のカテゴリーにあり、「たんに」知能が優れた人には期待されないものです。「たんに」知能が優れた人とは、IQや学歴で知性があると言われ、真っ先にクイズに答えられそうな人々です。彼らは多くのことを学びますが、他人が作ったクイズを解くだけで満足しています。

優れた音楽的知能、言語的知能、論理数学的知能、視覚空間的知能に加えて創造性を持ち、それぞれの領域に影響を与えた人々の中には、ジョン・レノン、リヒャルト・ワグナー、ゲーテヴァージニア・ウルフキュリー夫人ニールス・ボーア(デンマークの科学者)、イングマル・ベルイマン(スウェーデンの映画監督)、スティーブン・スピルバーグピカソがいます。

ジョン・レノン

スティーブン・スピルバーグ

パビロ・ピカソ


創造性 + 複数の知能が傑出していた人々

ガードナー先生によると、世界史に名を残した創造性に富んだ人々は少なくとも2つの知能に優れていました。

光、時間と空間に関する相対性理論を提唱したアインシュタインは物理学者として傑出した論理数学的知能を持っていましたが、彼の空間的能力も並外れていたといいます。これは神経心理学者サンドラ・ウィテルソンのアインシュタインの脳の研究によって裏付けられました。

フロイトは自分は科学者だと考え、論理数学的能力に長けていましたが、彼の天才ぶりには言語的知能と対人的・内省的知能が力を発揮したといいます。そのため、彼は大衆の心を掴み大衆に大いに受けました。

火の鳥」「春の祭典」の作曲者、ストラヴィンスキーは、優秀な音楽的知能とそれ以上に言語的な或いは芸術的ともいうべき表現力が傑出していました。作曲家であり飛び抜けた作詞家でもあり、鋭い芸術評論家でもありました。

アルベルト・アインシュタイン 

ジークムンド・フロイト

イーゴリ・ストラヴィンスキー

世界的な功績をあげた人物が完璧だった訳ではありません。フロイトは音楽的知能を欠いていました。ピカソは学校では非常にできの悪い生徒で、基礎的な読み書きをほとんど習得しなかったといいます。

 

🔹🔹8つの知能 チェックリスト🔹🔹

人は誰でも子どもの頃から好きなことや得意なことが必ずあるはずだとガードナー先生は言っています。不得意な分野を無理に強化させようとするよりも、得意な分野を見つけてサポートした方が、子どもの生長のためにも、個性を大切にするためにも、また将来の職業のためにも有益だといいます。

あなたご自身の、またはお子さんの知能をチェックしてみませんか。当てはまる数が多い知能が得意分野です(^^)

上記表はプレジデントオンラインからお借りしました。

 

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出典「MI: 個性を生かす多重知能の理論」ハワード・ガードナー著 

参照 [多重知能理論] プレジデントオンライン、 COPEL、発達科学コミュニケーション  [子どもが就きたい職業] まなびち、Kuraray、共同通信PRwire